第20章 宝物
ベポとジャンバールは、その風貌や大きさから普通にしていても目立ってしまうので、スーツを着て会場へ行っても溶け込めるハズはない。
二人には別の役割が与えられるようだ。
残りの男達5人がスーツのための採寸をしている間、スーツの必要がない二人は入り口付近のソファで待機している。手持ちぶさたのベポはドレスを選んでいるアルコに話しかけた。
「そう言えば、初めて会った時も、アルコはドレスを着ていたね」
ジャンバールもウンウンと大きくうなずいた。
「あの時のぺらっぺらのドレスとは全然違うよ。ずいぶん高そうだし。それに、どれも…」
アルコはあまり真剣にドレスを選んでいる感じはなく、カラフルなそれらを目で追っているだけだった。
「あれ、破れたから捨てちゃったんだよね。ちゃんと直して置いとけばよかった」
破れたっていうか、破かれた。
ステージ上で破かれて、珀鉛病の白いアザをさらされた。それにローは気づいたから、きっと自分のことを買ってくれたんだ。
その偶然を思うと、今となっては破れたドレスに感謝したいくらいだ。
破いたヤツには、感謝もしないし、思い出したくもないが。
ベポもオークションの時のことを思い出していた。
アルコは、自分が珀鉛病だからローに買われたと思っているのだろう。
しかし、ベポはアルコのドレスが破かれる前─── いや、オークションが始まる前からローがアルコのことを見ていたのを知っていた。
見ていた、というか『聴いて』いた。
オークション会場の雰囲気やその場にいた他のルーキー達。そのことをベポが話題にしても、ローは何かを考えているように空返事で宙を見ていた。
あれは、アルコの演奏を聴いていたんだ。何かを探るように。思い出すように。
──── キャプテンはアルコの演奏を、どこかで聴いたことがあったのかな