第20章 宝物
「オイ」
バキィッ!!
シャチは男の手元に蹴りを入れた。女はその隙にケースをぶんどるように胸元に抱え、シャチの後ろに身を潜める。
「助けてっ!」
「何なんだお前っ?! その女のグルかっ?!」
「そーだよん」
軽くそう言うと同時に、廻し蹴りを放ち、のけぞる前にみぞおちに身体ごと掌底を入れると、男はぐったりと気を失った。
「うっ………!」
シャチは男をドサリと地面に転がす。
「ありがとう」
立ちあがった女は、小柄とは言いがたい女性だった。いや、女性にしてはかなり大きいほうかもしれない。
ウェーブがかった髪に整った顔立ち。笑顔で礼を言っているが、眼差しはどこか冷たい印象を覚えた。
「大丈夫? ケガ、ないかい」
シャチは頭の後ろに手をやり、軽い笑顔で女性をいたわった。女性は襲われかけたというのに、何だか余裕のあるゆったりとした話し方で言う。
「うふふ……。私のグルなの?
私が悪い女だったらどうするの?」
「んな訳ねェだろ。こんな美人が」
「……………!!」
女性の顔はみるみるうちに『か~っ』と赤くなり、口に手をあてて走り去っていった。
「あ」