第20章 宝物
(シャッキーが女でよかった)
ベポは、心からそう思った。
最近のローの不安定さは、アルコに対する嫉妬からくるものだとベポは気づいていた。
以前のローはそうではなかった。
いつも冷静で、強引で、思考も行動もひとり先を行く。出会った時から何かを抱えているようだったが、詳しい心の内までは話さない。
ベポはそんなローを頼もしいと思いつつも、寂しさも感じていた。
しかしアルコを船に乗せるようになってから、ローは時折『不安定さ』をみせるようになった。
心を乱されているような『不安定さ』
それは言い換えれば『人間くささ(クマのおれが言うとややこしいけど…)』のようにも感じ、ベポはローのその変化が嬉しかった。ローの心を乱せるアルコになら、心の内を話せるのではないかと考えるようになった。出会った時にはすでに抱えていたローの『傷』や『闇』のような部分を。
ただ、その闇のせいか、ローには少し『言葉』が足りない。『素直さ』が足りない。行き過ぎた嫉妬も起こる。
(とりあえずシャッキーが女でよかった)
大好きな二人が、前みたいにそれぞれ悲しい顔を抱えているのは、できれば見たくない。
とりあえず楽観的に考え、次の瞬間にはすでにシャッキーの煮豆のことを考えながら、おつかいに行くアルコの背中を追いかけた。