第3章 金のために【シャボンディ諸島】
竪琴を抱え、ドレスの胸元を押さえながら、1人と1匹の後ろを歩く。客席通路の階段を上ると、徐々に舞台から遠のいていった。
「ハイ、そちら800万ベリー!」
ムカつくディスコの声が後ろから聞こえて、ムカつきに追い打ちをかけられる。
芸人が売られることは恒例なのかもしれない。
「旅芸人 募集」
「オークションは 初めてか?」
こうなることを知らなかったのは、自分だけかもしれない。
その証拠に、客席のわきを通り過ぎる際 向けられる視線は、何事もなかったかのように すぐにステージ上の熱狂に戻される。
それに、観客にじろじろみられているのは、アルコというよりむしろクマのほうだ。
客席後ろまでたどり着き、尖った格好をしている『海賊』の一団の前を通り過ぎた。
「トラファルガーの野郎、こんなことで女を買うなんざ、よっぽど溜まってんだな!!」
ゲラゲラと下品な笑い声を浴びせられる。
「…野郎」
「無理だよ、シャチ」
クマがサングラスの男を諌めた。
2人…もとい1人と1匹は、なんだか元気がないというか、がっかりしているようだ。女を奴隷として買うヤツの心理はわからないが、競り落として買ったハズなのに嬉しくないのか。
アルコは推測する。
─── コイツらは『女の奴隷を買った』ことに反対なのかも。船長の指示にイヤイヤ従っているのかも。だとしたら、私が船長を倒すのに協力してくれるかもしれない。だってほら、クマさんはいいヤツそうだし。
もし、船長が賞金首なら、金も手に入る。
『女を買う』なんて、確実に『悪いヤツ』だ。
結果オーライじゃないか。
アルコは、自分に都合のよい想像にふけっていたが、クマが立ち止ったことで現実に戻された。
「座れ」