第3章 金のために【シャボンディ諸島】
「エントリーNo.2!!
働き盛りの、人間の『男』!」
会場内に響き渡るディスコの大声で目を開け、身体を起こす。
会場の観衆の注目は、すでにステージ中央に戻っていた。
見渡すとそばにはオーディションを担当した男が、見知らぬ2人と揉めていた。
2人…というか、正確には1人と1匹。おそろいのツナギを着た、サングラスの男とクマだ。
支払がどうこうとか、金の話をしている。
「──── わかったよ。頼むぞ。じゃ、コレが『お仕置きスイッチ』」
サングラスの男が不機嫌そうに それをひったくる。
──── 買われたのか、コイツらに
マジか
クマか
犯されるだけじゃなく、食べられるのか
せめて、剥(む)かないで
暴(あば)かないで
レタスとハムのドレス着るから
せめて、まるごと 食べて
くらくらする頭を振り切り、座りこんだまま竪琴を自分の近くへ引き寄せた。アルコに意識が戻ったことを気づいたクマが、真ん丸の目で覗きこみ ────
「大丈夫?」
────え? 何?
だいじょうぶ? 大丈夫かって聞いたの?
クマに食べられる妄想は終了するが
「船長(キャプテン)が連れてこいって」
サングラスの男の一言で、再び犯される想定に逆戻りした。
クマがアルコを抱えようとするが、アルコは その毛深い手を払いのけ、竪琴に身体を預けながら立ち上がった。
「自分で 歩きます」