第19章 察知
トントン
「ねぇ。さっき、何読んでたの? なんか本、見せてもらってもいい?」
船長室へひょこりと顔をのぞかせたアルコ。ローは驚いたようにアルコを見た。
スッキリした頭。
コントロールできた心。
どっちがどっちの部屋に来るか、なんて駆け引きや意地は、とたんに不要に思えた。
だってやっぱり
こんなにも優しいところのあるローのことが好きなんだから。
「しばらく眠れそうにないから。本でも読みたい」
「ああ」
アルコはローの返事を聞いてから、船長室へ足を踏み入れた。あんなに意地を張っていて、踏み入れられなかった、その一歩を。
「こちらこそ、ごめんね」
本棚にある本の背をなぞりながら、視線を向けずに言った。
「病気のことだけじゃなくて、ローに迷惑かけてる。ちゃんとコントロールしないといけないことも………」
言いかけた言葉は、それ以上続けられなくなった。
ローに後ろから抱きしめられた。