第19章 察知
時間をかけてベッドから起き出し、洗面所へ向かう。
一通り身なりを整え、落ち着いたところで、ローが船長室へ続く扉にもたれたままの扉をノックした。
「医者として、だ。それに、見ていない」
でた。
『優しい嘘』
でも今はその『嘘』にすら、一縷(いちる)の望みをかけたくもなる。
アルコが何も言えないでいることに構わず、ローは続けた。
「そういう体質なのかもな」
「?」
「そんなに寝るのは。
体温もやたら低くなるし、前にも同じことがあっただろ。たぶん、無意識で心を守るためだ。
とにかく……」
そこまで言われたところで、アルコはようやくローを見た。
ローは帽子をかぶっていた。
潜水艦は浮上もしていないし、する気配もない。外には出られない潜水艦で、帽子を目深にかぶっていた。先ほどベッドサイドにいたときはかぶっていなかったのに。
「……悪かったよ」
「!!」
「あまり無理をするな」
アルコがお礼や謝罪を言う間もなく、ローは船長室へ戻っていった。
ローの優しさが、
ローへのいとおしさが、
アルコの心に流れてくる。
演奏で悲しみを吐き出して、涙も睡眠も飽きるまで貪ったアルコのスッキリとした心に、ローの優しさが再び染み入った。