第19章 察知
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翌朝
珀鉛病の定期検査をする、とアルコのいる処置室にベポがやってきた。
ベポはここ数日、忙しかったようだ。
現在の目的地、シャボンディ諸島に向かうための直接の指針はない。そのためいくつかの他の指針と海図から航路を割りだし、逐一方角の支持を出さなければならない。有能な“航海士”として、活躍中だったため、狭い艦内にいてもベポと会うのは久しぶりだった。
初めて診てもらった時と同じように、血液検査を含めた健康診断のような内容だと説明された。
「血液検査、今日で大丈夫? 来週にしてもらうようにキャプテンに頼もうか?」
「え……、わかるの?」
「………わかるよ」
「……ほんと、鼻いいね」
「ついでに、酒臭い」
「うっ…、ゴメン。昨夜はちょっと飲み過ぎました。ベポ、今忙しいのに…調子に乗って、ごめんなさい」
ベポの打たれ弱さを真似するように、深く反省を表した。
最近、よく深酒をしてしまう。
不自然に開け放された扉を、意識する前に眠りにつきたくて。
忙しさの合間をぬってアルコの肌のアザの記録と確認のために来てくれたベポは、優しい ため息をついてから「始めよう」と言った。
初めて診察してもらった時は『メスのクマにしか興味のないベポになら裸を見られてもいいだろう』という理由から、身体のアザの記録はベポの担当だった。しかし、その後ローとは身体を見られる仲になった訳だが、ベポのその役割は以前と変わらなかった。
医療行為とセックスは別モノ、と線引きされているようで、少し安心した。
顔のアザも みてもらうために化粧も落とし、ベポと二人きりの処置室で服を脱いだ。
ベポは記録用紙とメジャーを持って、アザの位置や数、大きさを前回と同様に確認していった。
『すでに治療した部分をとくに確認するように』とローから言われてるらしく、ホックを外して乳房もあらわにした。