第19章 察知
アルコは、セックスをしなくても触れあいさえあればよかった。
抱き合ったり。
髪をなでたり、なでられたり。
ほほを合わせたり、腕にもたれたり。
それだけで満たされる。安心する。気持ちよくなれる。
『女』ってそういう生き物でしょ。
でも、彼は『男』だ。
きっとそれだけでは満足できないことをアルコは理解していた。
『男』ってそういう生き物でしょ。
いや、女にだって性欲を満たしたい時はある。
自分が気持ちよくなりたい。
でも、それよりも大事なことがある。
相手が気持ちよくなってる顔をみたい。
相手っていうか、『ロー』が。
誰でもいいって訳じゃない。
セックスの時の、ローのあの顔
言葉には出してくれないけど
『気持ちいい』って言ってる
『たまらない』って言ってる
『好きだ』って………言ってる
あの顔を見ていると、
“そう” 思い込めるから ────
だけど
『ヤりてェんだよ、わかるだろ』
この言葉はアルコに現実を突きつけた。
現実は“そうじゃない”と
アルコをむしばむ『心の呪縛』。
あきらめ。
そりゃ、好きだけど
『性処理女』になるのは、ごめんだ。それを自分から認めるようなことは、できない。
そりゃ、前みたいな微妙な関係に戻りたいけど、自分からローの部屋を訪れれば、それを認めることになる。それだけはできない。
もう十分じゃないか。
一時ではあったが『こんな身体』の自分の、心も身体も満たしてもらった。
これからは『患者』と『医者』。
そういう、あきらめ。