第18章 それぞれの治療
「日が落ちるまでには、天竜人はこの島を出ます。お気をつけて、妖精さん」
「あの、ありがとう。
…今度会えたら、あなたのために演奏するわ」
「楽しみにしています」
アルコは自分の胸に手をあてて、気丈にほほえみそう申し出ると、コビーは姿勢を正して挨拶をしてから、去っていった。
「チッ。あんな優男(やさおとこ)のどこが…」
ローがボソリと呟いたのを聞いたのは、ベポだけだった。
(アルコ、またキャプテンのご機嫌が………)
ローにこんなに嫉妬深い一面があるということを、ベポが知ったのはごく最近。
アルコが現れてからのことだった。
ローとは長い付き合いのつもりだが、この件に関して未だに対処法を見つけられていないベポは、ただアワアワと心配する。
しかしローとて子供ではない。
先日、クルーに対する自分の嫉妬が原因で距離が生まれるような言葉を放ってしまったことを、彼なりに反省していた。
再び客は4人だけになった店内。テーブルに戻り、食事を続けようとするアルコに、ローは不機嫌さと素直さを微妙に混ぜたような提案をした。
「アイツのために弾く前に、
……おれのために弾けよ」
脅すような表情で言われたその言葉を、アルコは嬉しそうに受け入れる。椅子を引き、テーブルとの間に少し距離をとって竪琴を構えた。
「はい、“キャプテン”」
「ジャンバール、お前はどっちがいい。
草原と海、だったか」
「海だ。深い藍色の………自由な海」
「了解」
*