第18章 それぞれの治療
“その海兵”は……
“コビー”はその時、天竜人の前から突然消えた女性と大男が、ローの仕業だと理解した。
ローがゆらりとその顔をコビーに向ける。
「なんの縁か。お前には、助けられたな」
「こちらこそ………
これ以上、天竜人が市民に迷惑をかける訳にはいかない」
(ロッキーポート事件………いや、それ以前にもこの男は、マリンフォードでルフィさんのことを救っている)
今回の天竜人のことは、ローの能力がなかったら、あの場は平穏におさまらなかっただろう。
コビーは自分の『正義』のために、ある憶測を口にする。
「七武海としてしか知り得ない情報を求めているんだとか」
「さァな。お前に説明する義理はねェ」
「………ジョーカー…」
コビーの発したその単語に、ローの瞳が反応する。
コビーは この日の午前中、ローが海軍の管轄にある資料館と図書館で検索した履歴について、部下から報告を受けていた。ローが求めている情報は、見る人が見れば“ジョーカー”に関するものだと分かる内容だった。
「??」
二人は何か顔見知りのようでもあるがロッキーポート事件に立ち会っていないアルコには、二人の関係性はわからなかった。
ベポとジャンバールにも、二人が何の話をしているのかはわからないようだが、何やら緊迫した雰囲気がその場を包んだ。
「お前、なぜそれを」
「シャボンディ諸島で、来月も取引があります。表向きは宝石の取引。政府は……またそれを見逃すつもりだ」
「なぜ、それをおれに」
「…妖精さんは、悪い人じゃなさそうだから。その彼女を、あなたは助けた。そもそも、海賊の全員が悪いヤツだとは思っていません」
「はっ。どうだかな」
ローは鼻で笑って、グラスのウィスキーを飲みほした。
なんだか彼がローにとって有益な情報をくれたことは、アルコにもわかった。
その情報自体が海軍の罠である可能性は捨てきれないが、それはローが判断するのだろう。
しかし、彼がローのことを悪いヤツじゃないと感じたように、アルコにも彼のことが悪いヤツだとは思えなかった。