第18章 それぞれの治療
「ありがとう、ロー。助かった」
「…船に連絡を入れておくべきだったな」
「騒ぎになってたから、来てみてよかったね」
ジャンバールは言葉を発さず、うつむいたままだ。
「大丈夫だよ、ジャンバール。何ともなかったし、誰のせいでもない」
「……おれは」
ジャンバールが重い口を開いた。しかし言葉はなかなか続かず、3人は辛抱強く次の言葉を待った。
「島へ上陸しようと誘わなければ。
竪琴を船に置いていっていれば。
おれが遅れずに膝をついていれば。
おれが前に出ていれば。
何か言い返すことができていれば。
おれがアルコをかばっていれば…」
「やめろ」
ジャンバールの言葉を制したのはローだった。
「現実に“もしも”はねェ。言ってもしょうがねェことを言うな。
“運”や“奇跡”は存在するし、それも実力の範囲だ」
とくにこっから先の海はな、とつけ加えてグラスに入った酒を飲みほす。
アルコは驚き、目を広げてローを見た。
『麦わら屋が目を覚ますかどうかは“祈り”や“奇跡”じゃねェ』
アルコは、数ヶ月前に女ヶ島でルフィの目覚めに立ち会った際、ローが言ったことを思い出していた。
あの時のローは確か“奇跡”を信じていない口振りだった。あの“奇跡”の目覚めが、彼を変えたのだろうか。
ルフィと自分が起こした“奇跡”が ────
アルコは嬉しくてニマニマを抑えきれなかった。
「なんだよ」
「別に」