第18章 それぞれの治療
「よし! わちしは………」
「…ミチャエル聖!!!
こんなところにおいででしたか! お探ししました!!」
ひたいに巻いたバンダナの上に度のキツそうなメガネを乗せた、精悍な青年が店に現れた。青年は『正義』を背負った海軍の白いコートを羽織っている。
「なんだえ! 邪魔するなえ!! 今わちしは………」
「あれ………?!」
「え………?」
天竜人が海軍の青年を見た一瞬の間に、竪琴を携えた女は消えた。
側にいた大男も。
床には小さな花が置かれ、大男がいたところには昆虫が這っていた。
海軍の男は小さな紫色の花を拾い上げ、少し考えてから丁寧な言い方で言葉を発した。
「………聖は大変 お疲れのご様子。ひょっとして、妖精でもご覧になったのではないでしょうか」
「妖精………?! 確かに不思議な雰囲気の女だったえ」
「妖精の伝説がある国のことはご存知でしょう。聖がお疲れの時には、きっとまたお会いできましょう」
店の裏路地
アルコ達の座っていた席にある窓辺から、ローは中の様子をうかがっていた。
「大丈夫か」
ローがそう声をかけ、ベポがアルコを黙って抱きしめるが、アルコは その手をゆっくりと振りほどく。
膝をついた姿勢のまま足下で固まっているジャンバールを抱きしめ、ローとベポには聞こえないような小さな声でささやいた。
「大丈夫。大丈夫よ」