第18章 それぞれの治療
「これは楽器かえ~?」
「「!!」」
バカみたいなしゃべり方でアルコの竪琴に興味を示した。
「弾いてみせるんだえ」
「…………」
時が止まったのかと疑うほど沈黙し、音と動きの無くなった店内。
アルコは少し顔をあげ、天竜人の腰あたりまで視界に入れる。できるだけ髪が顔にかかるようにあげた顔を、まったく無視するようにのぞきこんでくる。
嫌でも、視界の端に大げさな服とヘンな顔がずいっと割り込んできた。
「……なかなか美しい女だえ。
もったいぶってないで 早くするえ」
優しそうな店主が、ゴクリと空の喉を鳴らしたようだった。
アルコはゆったりとした動きで あぐらをかき、竪琴を足の中に携えた。
「……どのような、ご気分でしょうか?
お心に合わせた音楽をお選びいたします」
「ほ~、それはいい。そうじゃな~、今のわちしは…」
「例えば、花が咲き誇る草原と、水面がきらびやかに輝く大海とでは、どちらがお好みでしょうか」
「う~………ん。そうじゃな~………」
「花には、ピンク、紫、黄色。
海は、青色、藍色に加えてクリアな水色がございまして、それぞれお選びいただけます」
「待て。
う~………ん。う~………ん。
それは素晴らしいえ」
気丈な笑顔でジャンバールを少し振り返る。
その額には、脂汗がにじんでいる。
大丈夫。大丈夫よ。