第18章 それぞれの治療
目についた店に入ったのは失敗だった。
自分の目についた、ということは当然天竜人の目にもつくのだ。
だって彼らは自分達と『同じ人間』なのだから。
違うのは、彼らの持つ『絶対的な権力』だけ。
こうなったら、膝をついて彼らの横暴が過ぎ去るのを、ただ待つしかなかった。
「いらっしゃい………………ませ」
「しけた店だえ。こんな狭くて汚いところで、下々民は食事するのかえ」
その言葉を言い終わる前に 店にいる客や店員が全員、会話や飲食をやめて床に膝をついた。
アルコはジャンバールにもそうするように目線を向ける。
「大丈夫。大丈夫よ」
息だけの声でそう言って、ジャンバールの一歩前に歩み出てから同じように膝をついてうつむいた。
周りから一歩遅れたその行動によって、天竜人の注意がアルコに向けられた。
天竜人が歩み寄る気配を頭上で感じる。
なぜ、お供を連れていないの
なぜ、海軍は監視していないの
「………………………」