第3章 金のために【シャボンディ諸島】
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ひとり目の『商品』は、アルコと同じくらいの年の、メイド服を着た女だった。
「エントリーNo.1!!
“人間”の女!
特技は掃除、アッチのほうもスッキリキレイにさせちゃうよ~。
それでは50万ベリーから、スタートです!」
アルコは、いきなり胸と顔が熱くなるのを感じ、歯を食いしばる。
舞台中央に立たされた女を見る。
顔面蒼白だ。
客席から次々に札が上がり、あっという間に200万ベリーを超えた。
アルコは、目を閉じて呼吸を整える。
──── 落ち着け。最初からこんなんじゃ2時間も もたない
あの女を自分に置き換えるな。
あの女を可哀想と決めつけるな。
女には女の事情があるハズだ。
例えばホラ、超ド級のM嬢とか。
ぐちゃぐちゃに犯されたいとか、そう言う女もいるでしょ。いるのか?
思考を途切れさせないように、現実を見ず、下らない考えで頭をいっぱいにする。
そうやってやり過ごそうとしていた時、会場にどよめきが起こった。
ざわざわざわ…
「!!!」
メイドの白いエプロンが、首もとから赤く染まっていく。
よく見ると、喉元には小さなナイフが立っていた。
──── ああ ドMじゃなかったの
殺して欲しかったの
やってあげればよかったね
ごめんね
アルコは冷めた頭でそう思った。
「下げろ! この野郎、ボディチェックしなかったのか?!」
ディスコが何やらわめいている。マイクを通していないので、ざわめきにかき消されて内容までハッキリとは聞こえない。
「『目玉商品』はどうなってる?!」
「ディスコさん…それがまだ準備が…」
「ちっ! 使えねェなぁ!! オープニングから コレかよ?!」
笑顔のお面を捨てたディスコが、ズカズカとこちらに歩いて来る。
──── あ、これがトラブルか
アルコはディスコの乱暴な足音を背景に、竪琴を弾く準備として足元を整えなおした。