第3章 金のために【シャボンディ諸島】
~~ 現在 オークション開始直前 ~~
観客席はほぼ満席だ。
演奏を続けているところに、ディスコがそばに近寄ってきた気配を背中で感じる。
もうすぐ始まる、という合図か。
「色気のねぇ 格好だな」
耳を疑い、演奏の手を止めることなく振り返る。
星形のヘンなサングラスをかけているが
先ほどと変わらない、お面の笑顔。
─── なんなの
「どうも 皆様!!
今回も良質な奴隷達を取り揃えることができました」
わああああぁぁぁぁ
大きな歓声があがり、オークションが始まる。
─── ムカつく。金のためとは言え、やっぱりやめとけばよかった。
しかし、ここに座るのは自分で決めたこと。
アルコの座っているところは、端のほうとはいえ 観客席から見れば 舞台上。
このディスコとかいうおっさん側の人間だと誤解されることが不快だ。
─── 誰に 誤解される?
この会場にいる観客も全員、 ディスコと 同じじゃないか。
もちろん、自分も ────
あぁ、とにかく『心を閉じて』やりすごそう。
そう思ったアルコは、大歓声の中、無表情で目を閉じた。