第18章 それぞれの治療
アルコはパッと目についた、大通りに面したレストランにジャンバールを誘う。
「どうしたんだ」というジャンバールに「とりあえず、いいから」と言って焦るように入り、店員も急かして窓辺のテーブル席に案内してもらった。
立派そうな外観に反して、中はテーブル席が10席もないくらいの小さなレストランだった。カウンターもあるが、酒瓶や皿が置かれていてそこにはとても座れそうにない。
優しそうなおじさんが、そのごちゃついたカウンターの中から「いらっしゃい」と言った。
先客は3組。
もう昼食の時間はとっくに過ぎていたので ほとんどの客は食事が済んでいるらしく、テーブルの上には食べ終えた食器が目立っていた。
木の椅子やテーブルの脚は、帆船の操舵輪を想像させる。席についてメニューを見てはじめて、ここがシーフードレストランの店だと気づいた。
アルコは、かじりかけのリンゴをポケットに入れて、二人分の飲み物だけを適当に注文した。
一人だけしかいない店員は、その鼻の形から、優しそうなおじさんの息子のようだった。
「どうしたんだ」
ジャンバールは再度アルコに問いかけた。
アルコはテーブル席に座ったまま、窓の外にそろりと目をやる。この窓は先ほどの大通りに面してはいないが、のぞきこめば大通りが見える位置にあった。
「大丈夫。大丈夫よ」
アルコはジャンバールの質問に答えず、異様な雰囲気に変わっていく通りをこっそり眺めていた。
「何なんだ」
ジャンバールが窓へ乗りだそうとしたのをアルコが制する。
一時の沈黙の後、レストランの入り口の扉が開いた。
「ここが下々民が食事するところかえ~」