第18章 それぞれの治療
「キレイな街ね」
小綺麗な服を着た子供達が4人、通りの隅で遊んでいる。
「ああ。居心地は……あまりよくないな」
「ふふっ。そっか。 あ! 見てアレ」
アルコが目を向けた本屋の店先に、文房具が売られている。ジャンバールが近づくと
「ソレソレ、ベポにお土産」
ジャンバールの肩の上から、ペンの背に熊の頭がついたモノを指差した。
「箱ごと買おう。おれも金を出す」
海賊歴の長いジャンバールは、買い物も豪快だ。
*
「そういえばジャンバールって………私の『病気』のこと、知ってるんだっけ……?」
ジャンバールの肩の上で、先ほど買ったリンゴをかじりながらアルコは尋ねた。
ローからアルコの『珀鉛病』の事情を話した、と聞いたのは確かベポ、シャチ、ペンギンの3人だったハズだ。
アルコもそういう認識で生活しているので、3人とロー以外の前では基本的にはグローブは外さない。
しかし今回の下船の件や、先日艦内での晩酌の時「闘って役に立ちたい」と言ったアルコに
『焦る必要は、ないんじゃないか』
と、優しく諭してくれたのはジャンバールだった。
病気の事情を知っているような気遣いに、ベポ達に聞いたんだろうな、と推測した。
ジャンバールは少し沈黙してから、歩みを止めることなく答える。
「いや、詳しくは知らないが………ローにしか治せない病気だということは、聞いた」
嫌だったか、と少しだけ寂しそうな顔をした。
「全然。ジャンバールは、優しいね」
「同期だからな」
そう言ってまた怖くて頼もしい顔に戻って笑った。
そっか
私達は、一緒のタイミングで乗船した『同期』。ローとはまた違った、かけがえのない存在だ。
この機会に、彼にもきちんと珀鉛病について話しておこうかな ────
「!!!」
「? どうした」
突如、アルコはジャンバールの肩の上で彼の頭を踏み台にするように背筋を伸ばし、遠くをみた。
「ジャンバール、降ろして。ソコの店に入ろう」