第3章 金のために【シャボンディ諸島】
支度室の鏡で確認すると、ドーナツ状の首輪だった。
海楼石のものとは少し違うような気がする。
── 勝手に、いきなりつけてきて…壊れたらどうしてくれんのよ
首輪で下敷きになったハートのネックレスを外し、丁寧にドレッサーに置く。
首輪はなかなかフィット感があり、軽く力を入れて引っ張ってみるが緩みもしない。
首をめいっぱい回して後ろがどうなっているか見ようとしたが、合わせ鏡でもないと無理だとあきらめた。
そうこうしているうちに、肌と接している部分の金属の冷たさが消え、まぁどうでもいいか、という気分になってきた。
アルコに任された仕事は、開始1時間前の余興。
それと、オークションの間の2時間は、舞台上でそのまま待機し、トラブルがあった時にすぐに芸を披露すること。
たった3時間で30万ベリーもの金をもらえるんだから、ある程度の我慢は必要だ。
── 賞金稼ぎみたいに、血をみることはなさそうだし
ドレッサーの後ろには、ぎらぎらしたカラフルなドレスやタキシードがぎっしりとつるされている。
できるだけ露出が少ないものを選び、着替えとメイクをする。
*
コンコン
「時間だ、頼むよ」
そう声をかけられ、立ち上がる。
竪琴を担ぎ、支度室をそのまま後にしようとしたが
(大事なものは コレとコレだけ)
いつもつけているハートのネックレスと皮のロンググローブ。
今の状況ではどちらも つけることができないが、それでも肌身離さず持っていたい。
アルコはその2つをドレスのポケットに突っ込んで、支度室を後にした────