第18章 それぞれの治療
「コレ………好きなんでしょ」
自分の両乳に手をあてて、勝手に人の胸を突っついてきたローをからかうようにアルコは言った。
女の乳が好きじゃない男なんて、出会ったことがない。
もちろん冗談のつもりだった。てっきり「つまらねェこと言うな」とか「さっさと出せ」とか言われると思っていのたが、ローの反応はアルコの想像を飛び越えたところにあった。
「ハートみてェなヤツだろ。好きだな」
「────っ!!?」
アルコは『乳が好きだろう』と、からかったのに ローは胸にあるアザの形のことを言ったのだ。
ハートの形 ────?
驚いて服の首もとを引っ張り、中をのぞき見る。アルコは常に上から見ているし、いやそもそもアザをそんなに見ないようにしていたし、乳房の膨らみのつけ根にあって潰されているので、ハートの形をしているなんて気づかなかった。
ハートの形 ────
そのアザは、ローと初めてセックスをしたときに彼が舌を這わせたところだった。
その舌があまりにも美しくて、みとれてしまったことをアルコは思い出す。
それに、今。なんて言った。
「『好きなの』?」
「あぁ。『好きだ』」
そう言うとローはバサリと服を捲りあげ、服の中に顔を突っ込んで、ハートのアザに舌を這わせた。
(これくらいなら、おれにも言えるようになったな)
ローは自分の変化を自嘲するような笑みをこぼす。それを見られないように服に顔を埋めたのだった。