第17章 合流
ミホークは優しく目を伏せた。
「謝る必要はない。
もとよりお前はお前。何も背負う必要はない。
“娘”には………『ただ、生きて』欲しいと願うものだ」
「願わくば、幸せに」とつけ足され、その言葉に涙が溢れる。口を強く結んでこらえるが、視界が揺らぐほどに瞳にたまった涙がぽたぽたと落ちる。
外からの風がレースのカーテンを揺らし、ミホークとアルコを包む。母の匂いがした気がした その風は、アルコの涙を優しく乾かした。
「“息子”は、大剣豪になりたいみたいだけどね」
「………………やめろ。
アイツは………お前とは、違う」
「違わないよ。ゾロなら ──── きっと」
ミホークは迷惑そうに言うが、アルコは“迷惑そう”なその表情が、本当は照れ隠しで嬉しいのだということがわかっていた。
(ふふ。ローとおんなじ)
ほほえむアルコの膝の上に、ミホークは何日分かの新聞をまとめて置いた。
いくつか印がつけてある記事は、見出しだけで十分アルコの目を広げさせる衝撃の内容だった。
「ロッキー………ポート事件、
4億4千万ベリー……………………
………心臓………………100個?!?
………………七武海………!!!」
「政府もその男を放っておけなくなったようだ」
立ちあがり、窓辺にたたずむミホークは、鋭い目つきのまま嬉しそうに笑った。
改めて新聞をみると1週間以上前のものからつい数日前のものまであった。ちょうどゾロとやり合っていた頃のものもある。ミホークは、剣を持って自分と向き合うアルコの集中を途切れさせないために、あえて見せなかったのだろう。その気遣いに『さすが師匠』と思った。
「心と力を、コントロールしろ」
「はい」
ミホークからの師匠としての最後の教えになりそうな気がした その言葉を、確実に胸に刻みたい。
アルコは胸に手を当てて、力強く返事をした。