第16章 生命
上弦の月が高く昇る夕刻
コウモリたちが群れをなして活動を始める。
ミホークとアルコの舞のような衝突を、自室の窓から食い入るようにみつめるゾロは
焦燥し、
困惑し、羨望し、
憤慨し、降伏し、欲情し、
そして 敬した。
アルコに出会った時。
ミホークとの決闘に敗れた後、ナミの故郷であるココヤシ村で初めてまともに向かい合い、その後アーロン 一味を倒すため共に闘った。
強い女だと思った。
しかし、一方どこかで負ける気はしなかった。
自分が生命を賭して本気でやりあえば勝てる気がした。
個々の威力が負けてるとしても、アイツはどこか
必死さがないというか
あきらめているというか
闘っているのに
闘っていないというか
でも、あれは
今のアイツは ────────
噴水広場を中心に、飛びあっては斬りつけ、はじけては距離をとる二人。
時折、何かを話しているように手を止め、直後アルコが剣を振る。斬りかかりとは別に、振り回すような動きが加えられているように見える。
ミホークは黒刀を抜き、容赦なく迎え撃つ。気を抜けば致命傷で、稽古は終了になるだろう。
耐えろ ────────
ゾロの握った拳が震える。
いつの間にか嫉妬や羨望はなくなり、信頼する仲間をみているような気持ちになった。
ミホークの斬撃をアルコが受ける度、アルコが剣を振り回す度、はめ込まれて開くことのない大きな窓がビリッと音をたてた。