第16章 生命
………………だめだ
聞こえない
もっと身体で感じたい
水の流れを
動きを
呼吸を
はじける音を
なんか………邪魔だな
シャツの裾がはためく音
ラップスカートのヒラリとした部分
衣擦れの音が邪魔だ。
アルコはそれらを脱ぎ捨てる。
タイトな部分も
革のグローブ
タイツ
アルコは古城を振り返る。城から見えるだろうか。この距離なら見られても大丈夫だろうか。脱いでいるのはわかるかもしれない。この“アザ”までは見えはしまい。
──────── いや、別にもう
“アザ”があろうがなかろうが
強くなりたい
そこに“アザ”や珀鉛病は関係ない
アルコはグローブに手をかけ、外した。タイツも脱ぎ捨てた。包帯もちぎり捨てた。
肌と下着が擦れる音が邪魔。
ネックレスが鎖骨に当たる音も邪魔だ。
まるで服を着ていることの方に違和感を感じた。
上気した身体についた肉を揺らしながら剣を振る。汗や血のしぶきも飛び散っては、はじけた。
肌には珀鉛病の白いアザと
ローが残した赤いアザが浮かぶ。
白い薔薇 と
赤い薔薇
純潔な女神のような姿で、大剣を振り続けた。