第16章 生命
………………そうか
しぶきを斬るんじゃなく、叩く
刀身を鈍器のように
打楽器のように
物理的に
アルコは大剣を手に、昨日から ひたすらしてきた体勢をとる。今までと違うのは、剣に“覇気”を纏わさないこと。
巻き上げたしぶきを、大剣の腹の部分で叩く。
横から、上から、斜めから、また横から。
幅広の大剣は、刃に対して幅が10倍以上ある。空気の抵抗がとてつもなく、重い。
素早く。もっと素早く。
ビシャリ、ビシャリと刀身が濡れる。
“覇気”を纏わせていた時には、濡れることがなかった剣。
百回以上の打ちつけの後、
しぶきを 芯でとらえた時
叩いていない他のしぶきが、突然はじけて消えた。
共鳴 ────────
そこからは夢中で打ちつける。
剣に振り回されないように体幹でふんばり、飛び散る汗すら叩いてはじけさせる。
どういう時に共鳴するのか
どの周波数の音だと共鳴するのか
どの水滴が反応するのか
かすかな違いを聴き分けるために、集中し耳を澄ましながら、ひたすら叩きまくる。
いつか、ローが洞窟で教えてくれた“特定の周波数に反応する菌類の光”。あの光を感じる時と同じように、耳を澄まし、目を澄ました。