第16章 生命
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夕刻6時
アルコと入れ替わるように部屋を出たゾロは、城の南にある噴水広場へ向かった。
日中、ずっとその場所で何かをしているアルコを、自身の部屋からみていた。米粒程度にしか見えない距離だが、廃墟と化したこの島で、素早く規則的に動くアルコは小さくてもよく目立って見えていた。
ドクン ───────
その像を、一目見ただけで困惑した。
噴水の中央から見下ろす半裸の女神像は、ゾロの陰茎に 静かに確実に熱を与えた。
「クッ………ソッ………………!!」
ゾロは刀を噛みしめ、ヒヒを求めて 森へ逃げるように走って行った。
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早朝6時
正午までの6時間は、昨日と同じことを ひたすら続けた。
ペローナが作ってくれたおにぎりを、噴水の縁に座って広げる。
アルコの好みにあわせて作ってもらったそのおにぎりを もぐもぐしながら、片手は噴水に溜まった雨水の中に入れ、バシャバシャしたりチョンチョンしたり、水をいじる。
音階 ──────
ふと思いついた音楽を形にしてみようかと、残りのおにぎりを口の中にほおばり、服で手を拭いて竪琴を構える。
ピィ ───────── ン
1音だけはじき、おにぎりを咀嚼(そしゃく)しながら考える。
いや、違う。
できることを、やりに来たんじゃない。
できないことを、やりに来たんだ。
──────── ン
残った竪琴の余韻を聴きながら、はじかれた弦をみつめる。
はじく
撥弦楽器
たたく
ふるえる