第15章 in the rain
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翌日の早朝、母の墓参りに行った。
島の南側に広がる城下町跡。
居城をはさんで反対側の北側には、静かな森が広がっている。その森の中の少し開けた場所にたたずむのは、ミホークが立ててくれた大きな十字架の墓標。
この地に移り住んだのは母が死んだ後なので、母の亡き骸がココに眠っている訳ではない。二人でクライガナ島へ来た当時、ミホークはアルコに何の相談もなくココに十字架を立て、なぜかミホークが持っていた母の黒髪の束らしきものをココに埋めた。
それから、私達にとってココが母の墓となった。
どっかの海賊と子をもうけ、その子供をミホークという別の男に育ててもらった根性の座った女の墓。
──── お母さん
私は『呪い』に打ち勝てる日が来るのかな
涙ではなく、高い湿度でほほが濡れる。夜露が残るシッケアール王国跡の早朝は、露出した肌の部分だけが雫をたらしそうなほど高湿度だった。
あまりの湿気に、グローブを外したいという衝動が起こる。
外すことが『呪い』に勝つことなんだろうか。
外さず我慢できることが『呪い』に勝つことなんだろうか。
アルコには本当にわからなかった。
アルコはそれ以上考えることを止めて大剣を握り直し、帰りは森の方向へ遠回りをして、ヒヒ達をなぎはらいつつ城に戻った。