第14章 分岐
瓦礫だらけのかつてのメインストリートには、年々左右から針葉樹の森が迫ってきている。
アルコがこの島を出てから1年程が経った。あの時は、とくに何も考えず同行したミホークの『ヒマつぶし』。
とくに縁はないが目についた気に入らない海賊を追って、たどり着いたのは東の海(イーストブルー)。そこでルフィ、ゾロと出会い、アルコは半ば衝動的に彼らに同行した。
珀鉛病で死ぬのを待っていた。ルフィの船を降りてそろそろミホークの元に帰ろうかと思っていた時に、ローと出会い治療が始まった。
(まさかこんなことになるとはね)
出て行った頃とさほど変わらない島の風景に安心する。
(あなた達も相変わらず)
森から感じるヒヒ達の気配に目を向ける。
(私は変わったの。まだ生きられるんだよ)
友人のように馴れ合っている訳ではないが、隣人程度の愛着はあるヒヒ達に心の中でそう報告する。
ヒヒ達は興奮し、こちらの様子をうかがっているようだが、まだアルコの射程内ではない。
森に気を向けながら走り出そうとした時 ──
ドガガガガガガッッッッ!!!!!
突如、ヒヒ達の気配がする瓦礫と森の境界がバサバサバサッと衝撃を受けた。
驚いて振り返ると、脚をガトリングに変形させた女が、口と脚から煙を吹いていた。
「あいつら、しつこいわよ」
アルコは女に向かってニヤリと笑い、大剣を抜いた。
「ありがとう」
先ほど銃弾を撃ち込まれた森から、逆上した1匹のヒヒが飛び出して来る。
アルコは軽いジャンプでヒヒの両肩にしゃがんで乗り、刀身に手を添えてヒヒの喉元にピタリと あてた。
その威嚇だけで戦意を失い顔色を変えたヒヒを、踏み台にするように そのまま蹴り飛ばす。
チラリと女を振り返った後、城に向かって走り出した。
残されたメイド服の女は、それを見てアルコと同じように笑い、タバコを軽く噛みながら深く吸い上げた。