第14章 分岐
「すまない」
それまでうつぶせで伏せていたアルコが首をあげ、まっすぐみつめてくる。怒っているような、悲しんでいるような、やるせない表情だった。
「謝らないで。セックスの後は。二度と」
「………………………わかった」
もう一度謝りそうになったのをどうにかこらえた。
「わかれば、よろしい」
そう言ってベッドに座り直し、表情を一変させる。一瞬眉を寄せるように笑って頭をぽんぽんとされた。
子供扱いするようなその仕草に若干イラついたので、強めに引っ張り寄せ、抱き締めた。そのまま鼻先で黒髪をかき分けて首筋をきつく吸い上げてやった。
「っ………。やめてってば」
あきれるように怒るアルコの力の入った細い手首をとらえ、挑発するように自分の首筋をアルコの唇に差し出す。
アルコは、おれを じとりと見てから、触れるだけの乾いたキスを首筋にしてきた。
おれの『自由』を望むその行為に
ムカつきもしたが
『主義』を貫く姿勢に
尊敬もした
やはり お前は
『おれだけの 患者』だ