第2章 前奏
『MONKEY・D・LUFFY 300,000,000-』
凶悪な手配書写真が並ぶ中、ハツラツとした笑顔の少年。
ひいき目を抜きにしても、十分に目立っている。
「彼、いいわよね」
シャッキーは、アルコがルフィの手配書を見ていたことに気づいてそう声をかけた。
「そうなの?」
── 本当は知ってる
彼は『最っ高にいい』ことを
アルコが船を降りてすぐ、ルフィの懸賞金が1億に上がった。
新聞によると、彼は『七武海 クロコダイルを倒した凶悪犯』。しかしそれは、彼がアラバスタ王国を救ったことを意味していた。
今や懸賞金は3億ベリー。世界中が彼に注目している。
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万が一にも、
自分の『個人的な事情』が、
彼らの冒険の『足かせ』になってはいけない
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優しい彼らは、アルコにすら何かあれば、駆けつけて助けてくれるだろう。
しかし、アルコはそれを望まない。
──── どうか 自由に
そう願うアルコは、彼らの船に乗っていたことだけでなく、彼らと知り合いであることすら、隠すようになった。
そもそも、『本当に大切なもの』とは、自分だけの心の内にそっと飾っておくものだ。
「最近、その世代のルーキー達がこの島に上陸してる」
「そうなの?!」
それは、本当に知らなかった。もしかしたらルフィ達もこの島に…!?
「ああ、あんたも気をつけな」
── そうか、気をつけるのか
ルフィ達のことで頭がいっぱいになったアルコは、悪いヤツがいることなんて考えもしなかった。
『悪いヤツ』『金欠』から、アルコはある単語を連想してしまう。
───『賞金稼ぎ』
島から出るにしろ、とどまるにしろ、とにかく 金は必要だ。
── ゾロで 1億2000万か…
懸賞金は、政府への危険度によって海軍が定める。そのまま強さとイコールではないにしろ、ある程度の指標にはなる。
彼の言動が頭に浮かぶ。
強さを求める彼は、どこまで成長するんだろう
以前とは少し違う焦燥感が胸に広がるのを、アルコは感じていた。
自分は、どれくらいの相手なら狩れるだろう。
自分に、懸賞金が懸けられるとしたらどれくらいの額になるのだろう。