第2章 前奏
『あいよ、****』
目的の島の酒場の店主らしき人物が応答した。
聞きなれない単語の発音の難しさからか、店の喧騒からか、店名が聞き取れなかったが、アルコにとっては どうでもいいことだ。
「その店に“鷹の目”は来ましたか」
『なんだい、いきなり。政府の人間かい?!』
“政府の人間”の言い方には、明らかに嫌そうな雰囲気が込められている。
「いいえ。“鷹の目”がいたら代わってください。“娘”からって言ってもらえればわかります」
早口で、簡潔に用件を伝えた。
『いや、いないよ。今朝、島を発ったって聞いたが』
「そうですか。ありがとうございました」
期待はしていなかったが、『今朝』発ったのか。
惜しかっただけに、がっかり感が大きくなってしまった。
「コレ、飲んでもいい?」
琥珀色のウィスキー。
ラベルの表に酒名が書いてあるが、これがまた、読めない。
「ソレ、高いよ」
「えー…」
ショットガングラスが出され、3cmくらい注がれる。
ケチなオバちゃんめ。
また殴られるから、声には出さないけど。
「うっま!」
「だろ?」
シャッキーはアルコから新聞を取り上げ、
自分用にウィスキーグラスになみなみ注いでいく。
そういえば、そろそろ本当に金がなくなってきた。
シャッキーに心配されるのが嫌で、安い酒がほしいとも言えない。
出された少量のウィスキーをぺろぺろ舐めながら、手配書の束をめくる。