第2章 前奏
シャボンディ諸島
13番GR(グローブ)
シャッキー's ぼったくりバー
*
アルコは、バーカウンターのテーブルに片方のほっぺたをつけて新聞をめくっていた。
元ドラム王国で購入した焦げ茶色の革製のロンググローブを はめたまま。
新聞をめくっていない方の腕は、カウンターの向こう側までだらりと伸ばしている。
島の喧騒は、この店までは聞こえてこない。
午前中ということもあって、店には客は誰もいない。そもそも、どの時間帯であってもこの店がにぎわうことは、ほとんどない。
「あ」
バシィッ!
アルコが探していた記事を見つけたと同時に、頭に鈍い痛みが走る。
店主であるシャッキーが彼女の頭を叩いたのだ。
「だらしないよ」
「いっ痛い、強い 強い!」
「手配書も見る?」
強烈な一撃への抗議はスルーされ、新聞の横に手配書の束が置かれる。
アルコは手配書には目を向けず、先ほど見つけた記事をもう一度読み直す。
「ねぇ シャッキー、南の海(サウスブルー)の ヒュッジ島?ってとこに知り合いいる? できれば酒場、飲食店」
シャッキーは思い出すような仕草もせず、カウンターを背に1本のボトルを迷いなく選び、アルコの目の前にドンと置いた。
「いない。
でもサウスといえばコレだね。だいたいの酒場には卸してるハズだよ」
「!」
その手があったか!
アルコはボトルのラベルを裏返す。
そこには製造・販売をしている会社名。発音の仕方はよくわからないが電伝虫番号は数字で書いてある。
「ありがとう」
いつのまにかそばに置かれていた電伝虫。
アルコは、ラベルの番号にかけ、目的の島にある一番大きな酒場の連絡先を教えてもらう。島の名前はユッテ島と発音するらしい。