第13章 表と裏
30分ほどの演奏が終わった。
歓声と拍手の中、ステージ上の4人は礼をしたり手を挙げたりする。
豊満な女がアルコに近寄り、抱擁してから、もう一度拍手するよう客に促すと、ふたりの女への歓声が高まった。
アルコは、最初と同じように竪琴を抱えていない方の手を広げ、深々と礼をした。鳴り止まない拍手と指笛の音があがる中、あげられた彼女の顔には、緊張と安堵の色がみられる。
興奮気味に上気しているのか、その笑顔にはうっすらと汗が浮かんでいた。
普段の自然体のアルコとは少し異なるその顔に、ペンギンはドキリと胸が動かされる。
──── おれがローなら…
もっと上手くやれるのに
もっとわかりやすく優しくするのに
ローをチラリと見る。
これまで この男に寄ってくる女達を一番近くで見てきた。金を払っているとは言え『見た目』で判断し、寄ってくる女達。うらやましいと口では言うが、心底うらやましいとは思っていなかった。
アルコは、ローの『見た目』をあまり意識していなかったのだろう。今朝のあの珍しい言動が、その証拠だ。
不器用なこの男の本質を
よくぞ理解してくれた、という
『感謝』
と
なんでこんな不器用な男がいいんだ、という
『嫉妬』
──── まぁでも、前者のほうが大きいか
結局は、自分もこの男に『男』として惚れている訳だから