第13章 表と裏
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この島のビールは、飲みやす過ぎる。
ペンギンは思った。
若者向けなのか、ほとんど苦味のないビール。
まるで水のように感じられ、いくら飲んでも酔えそうにない。
「知ってたのか」
「いいや、偶然だ。本当に」
そこまでお人好しじゃねェぞ、と思いながらも、不器用な2人のために今朝のことを話題にした。
ローは去ってしまった後だったのでアルコの『自由主義』発言を聞いていなかったハズだ。
「『自由』…主義………、そう言ったのか」
「ああ。キャプテンも……『ロー』も、似たようなもんだろ。基本的には勝手にしろって。
本気でソッチ系のことにも奔放……っ、寛大なのかも。どっちがいいとか悪いとかの問題じゃないと思うけど。
あんな態度でも一応不安なことは あるっぽいし、もう少し、話しでもしたほうが……って余計なお世話かね」
ペンギンの話し方が、一船の船長に対してではなく、旧友としてのもの変わった。
「………………」
的確過ぎて言い返すことができない。
ローは無言でビールに浮く泡をみつめた。
──── 確かに
前の島で体の関係を持ってから、“話らしい話”は ほとんどしていない。
一度に何度かヤるにしても、そういう機会自体は頻度で言えば まだ片手で数えられるくらいだが、その少ないチャンスを逃すまいと、同意を得るような声かけもせず溺れるように貪ってしまう。
もしかして、それが嫌で『女を買え』という意味のことを言ってきたのか ───