第13章 表と裏
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その日の夕方
ベポ達数名を船番として残し、ロー達は酒場へ繰り出した。
「アルコは? そういや、見てねェな」
問いかけたのは頭の後ろに両手をやり、だらだら歩いているシャチだが、ペンギンはむっつりと黙ったままのローに対して説明するように答える。
「なんか、開放的な島だからおれ達に気ィ遣ってるみたいで……。金貸してとか言って、どっか行った。夜には帰るって」
「………………」
通りを行き交う浮かれた男女の間を、生ぬるい夕方の風が通りすぎる。
ペンギンはベタつく首を手でこすった。
(勘弁してよ、キャプテンそんなオーラじゃ女も寄ってこないっしょ)
微妙な雰囲気の一行は、ビーチ沿いの大きな店にたどり着いた。
天井が低いが、ビーチ側の壁が取り払われているので開放感があるその店には、前方にドラムセットとグランドピアノが置かれた低いステージを備えていた。
ステージの両脇には南国リゾートの雰囲気を演出する葉の大きな植物がわさわさと飾られている。
藤を編んで作られたテーブルや椅子には、水着のままの若い客が多く、騒がしい。客が飲んでいるものは、果物や無駄な装飾がついた色鮮やかなカクテルが目立つ。
「おぉ~、なんか女が好きそうな店だな~」
シャチは嬉しそうだが、ローには騒がし過ぎる。
『他の店に』
そう言い出すか迷った一瞬のスキに、後ろから聞き慣れた声が聞こえた。