第12章 a half one
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潜水艦内
船長室
アルコはブーツを脱いでベッドに上がり、窓から海中を見ていた。
本当はリビングの廊下の丸窓で見たかったのだが、あそこは今“乗客二人”に占拠されている。
──── あの窓は大きいし、水面に近くて一番『ぶくぶく』が多いのに
自分のお気に入りの特等席を取られ、とはいえ『どいてくれ』などと話しかけることもできず、こっそり様子をうかがっていたところをローに察知され、船長室へ連れ込まれたのだった。
──── ここはいつでも海中だから、やっぱり『ぶくぶく』が少ないな
奥まで のぞきこむように身を乗り出していると、シャツの背中をピラリとめくられる。
直後、腰のあたりに軽く歯をたてて舌を這わされた。
「ちょっ………?!」
「ケツ突き出してるお前が悪い」
シャツを押さえてローのほうに向き直ると、近い距離でバチりと目が合う。
──── ヤバい 溺れる
ぶくぶく ぶくぶく
倒れこむようなキスをされ身をよじるが、狭いベッドでは よじった先にも逃げ場はなく追い込まれる。差し込まれた舌に応じず、「んー」と細かくうなずき苦しそうにしてみせると、ようやく唇が解放された。
「本当に、もうおしまい。………今朝も…したでしょ。キリないよ。大丈夫?」
「なんでか………お前とは…止まらねェな」
ニヤリと笑うローに、アルコは軽くムッとする。
「『お前とは』…って………誰と比べてんの。
何人の女 抱き殺してきたんだか」
「お前こそ、何人絞り殺した」
「…なにそれ、全然………
っていうか!
あいつら二人とも“億超え”でしょ。ちゃんと見張ってよ」
ベッドからぐりぐりと蹴り出すと、ローはハイハイと言いながら、長刀を肩にかけて部屋を出ていく。
ひとり 残された部屋
窓に目をやると、すでに藍
──── 手遅れ もう溺れてる
アルコはシャツを下に引っ張り整えて、速い ため息をついた。