第11章 プライド
静かな部屋
朝日が差しこみ始めるが、日はまだ低い。
二人は、無言で鼻先やほほをこすりあわせる。
時折、乾いた唇が触れあうが、深く口づけ合うことはしない。
どちらが先に貪り始めるのか
我慢比べのように
────── たまらない
頭が
胸が
心が
いやもっと下にある部分が、この男を求めている。
───── でも、私は
いや、『私の身体』は
ふい、と顔を離したのはアルコのほうだった。
すたすたと洗面所へ歩き、水を汲んだコップに花を挿して、大事にテーブルに置いた。
横目の視界に入った口一が、派手なタトゥーをさらしていた。
「……なに 脱いでんの」
「…脱ぐだろ」
「………………無理だよ」
アルコは羽織っていたタオルをぽいっとベッドに放り、バスローブ姿でベッドに座った。
「口一には、通用しなかったね。
私が『こんな身体』で、行きずりの男と寝る訳ないもんね」
その言葉に苛立ったように、口一はアルコの腕を引っ張りあげる。
「!」
腕の白いアザに口づけて、強く吸い上げた。
「関係ねェよ。…いい加減……、ヤるぞ」
「か、関係…、あるよ…… やめ ──」
「関係ねェ」
「あるよ!! 口一は…医者だからって ──」
「それも関係ねェ」
「…………!」
何も言い返せない
男はヤリたい
女もヤリたい
頭の中にはシンプルな構図だけが残った。
それでも ─────────
怖い
怖いの
見られるのが怖い
何を言われるのか
いや、何も言われなくても
何を思われているのか
想像するだけで
怖い ─────────