第11章 プライド
どこまでも交わらない平行線のように、終わりのみえない沈黙だった。硬直状態を解いたのはローの提案だった。
「お前らは、もう行っていい」
ビクリとした若い男に、ローは金を握らせ小さく謝罪する。
ローは二人を締め出すように部屋に入り、扉を閉めた。
扉の向こうではキッドが「クソ」とか「なんなんだ」とか悪態をついているが、室内がいつまでも静寂していることにしびれを切らし、最後まで何やらぶつぶつ言いながら、舌打ちが遠ざかっていった。
再び静寂する室内
振り返らないアルコに、声もかけずに歩み寄る。靴音はじゅうたんに吸収され、二人の間には変わらない静寂が流れた。
ローは何も言わずに、アルコの肩に後ろから腕をのせる。
沈黙を破ったのは、アルコの乾いた息だった。
「ふっ……」
タトゥーのあるその腕と手に、まったく似合わない可愛らしい紫色の小さな花。指先で花の茎をくるくると転がして、ちらつかせている。
アルコはローの腕に触れる。いつか自分がされたように、指の背で腕をなぞり手を通って指先までたどり着く。
「ふふっ。…………花……」
アルコは思わず吹き出して笑う。
「あぁ。……花だ」
ローが声を出さずに笑っている気配をアルコは首筋で感じる。ローは 濡れた黒髪の張り付いたうなじにキスをして、花を握らせた。