第11章 プライド
「怖いんだよ、傷つくのが」
もう、言い逃れや寝たふりは通用しない
正直に、真剣に
打ち明けたのに
口一はとたんにニヤリと笑った。
「わかった。痛くはしない」
「ハァ? わかってな ─────」
アゴをぐいっと ほほの形が変わる程の力でつかまれ、唇を塞がれる。
「……っん……………ッハァッ!!」
「大丈夫だ。お前は、傷つかない」
「?!」
唇が解放された瞬間、反論する間も与えられずそう言われ、思考が停止した。
なんだ
それ
肩に手をかけられ、今度は誘い出すような優しいキスが落とされる。先ほどの強引なキスに反して、二度目のそのキスからは『優しさ』が強調された。緩急つけるようなそのテクニックに、逆に警戒心が生まれる。
唇をついばんで
すねてる子供を
『こっちだよ』と
誘い出すような
「!!!」
肩にかけられていた手が、まとっていたバスローブを剥がす。ビクリと肩に力が入ったことが、皮肉にも脱がせやすさを手伝ってしまう。
銀色の装飾とレースがついた濃いブルーの下着があらわになり、そこから ちらつくのは
まだらの白いアザ と
治りきった切り傷や刺し傷 だらけの 身体
キスは優しいまま首筋へ降りていくが、アルコの身体はこわばったまま、目を固く閉じている。
「思ってることを言うぞ」
「!!!」
アルコは心を読まれたのかと疑い、ドキリと心臓ごと身体が跳ねた。
目を開けると、口一は胸の膨らみの柔らかさと下着の固さを同時に感じられるところに顔を埋め、表情を見せないような姿勢で ため息交じりに言った。
「きれい ─── だ」
アルコは崩れ落ちるように、口一の頭を抱きしめる。堰を切ったように溢れる涙で、まつ毛が濡れた。
「……嘘、だ…よ」
「……嘘かどうかは、お前が決めろ。それでいいじゃねェか」
「!!」
ああ
そうだ
この人は
口一は
『本当は』優しいんだった
だから、それくらいの『嘘』つくよね ───
そう 納得したら、ようやく身体の力が抜けてきた。