第11章 プライド
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ホテルのフロントにいたのは、鼻の下にチョビヒゲを乗せている太った中年の男だった。
キッドは、曖昧なことを言う その男を締め上げてアルコのことを問い詰めている。ローはそれを制止し、男に金を握らせる。
男は態度をコロリと変え、アルコの部屋番号を教えた。
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“503”
部屋をノックする。
返事もなく、すぐに開けられた扉。
もともと会話などなかったローとキッドだが、部屋の光景に二人はさらに言葉を失った。
バスローブ姿のアルコ。
素肌の首に濡れた髪。
すぐ隣には若い男が立っていた。
シャツの前を、はだけさせて ───────
「んだよっ?! ビッチじゃねェか」
早朝のまだ静まり返ったホテルの廊下に、キッドの罵声が響く。アルコは目を閉じて、静かにその言葉を受け入れた。
「行こうぜ、トラファルガー」
キッドが立ち去ろうと促すのを聞いて、アルコは ひと呼吸置いてから瞳を伏せたまま扉を閉めようとすると
ガッ!!
扉は途中までで止まり、動かせなくなった。思わぬ突っかかりによって、アルコの手からドアノブがすり抜ける。閉じかけた扉に、ローが足を伸ばしたのだ。
ローは扉を開け戻し、射抜くような鋭い目つきで若い男を一瞥してから、目を合わせようとしないアルコを見据える。
「悪かった」
「!!」
アルコの瞳がようやく通常の大きさに開かれた。
「悪かったよ」
沈黙が続く中、再度投げかけられるローの謝罪。
「ハァ~、もう行こうぜ」
アルコはくるりと背を向け、肩を震わせる。
「すまない」