第1章 “麦わら”との冒険
『うるせェ!!! いこう!!!!』
*
トナカイの“医者”が、彼らに同行することになった。“医者”は、城内でドクトリーヌに別れを告げているという。
「私は、ここで船を降りるわね」
雪が降りしきる城門前。
一味の動きがピタリと止まり、雪だけが動き出したようにみえる。
「ずっと探してた、欲しかった『情報』が、この城にありそうなの。
解読には数週間は かかりそうだわ。」
質問や意見を言うスキを与えず、彼女は続ける。
「船は、止まってはいけない」
心配そうな表情をしてくれている“砂漠の王女”に向かって微笑む。
言葉を発したのは、病み上がりの“航海士”だった。
「そういう、約束だったものね。寂しいけど」
“航海士”は、ごそごそと手袋を外し、コートの襟元を少し開けて、つけていたネックレスを外す。
「コレ、あげるわ。船に帰ればもっとあんたに似合いそうなものもあったんだけど…」
手渡されたネックレスは、ゴールドでできたハートのモチーフの華奢なもの。少し横長の歪んだオープンハートで左右に細いチェーンが繋がっている。
「私に、私達に。
正直に。
何か言うことはない?」
妙な強調をする口調で、そう言ってきた“航海士”は、すがるような、悲しそうな目で彼女をみつめる。
「正直…」
「コレ、あまり 趣味じゃないわ」
・・・
一瞬の沈黙の後、
“粗撃手”が「ブフッ?!!」っと吹き出す。
「はっはっはっ!!」
“剣士”も声をあげて笑っている。
「笑うな!!! ヒドッ!」
“粗撃手”と“剣士”に振り返ってそう叫ぶ“航海士”は、何か暖かいものに包まれた。
彼女が首もとに抱きついてきたのだった。
「でも、すごく嬉しいから、もらってく」
一味の笑い声が大きくなったのは、笑い泣きの涙でごまかそうとしているからか。
「ししし!」
真剣な顔で、それをみていた“麦わら”の少年も声をあげる。