第11章 プライド
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夜明け
空が白み始める直前、二人は店を後にした。
数時間ものあいだ隣に座って酒を飲んでいたにも関わらず、二人の距離感は微塵も変わらなかった。
馴れ合うつもりもない
互いを意識し、牽制し合うような会話
いや、互いの問いかけに対して 「さぁ」とか「まァな」などと、ろくに答えることもしない会話は、もはや会話とは言えない。
ローを追いかけるように店を出たキッド。
街は静まり返り、朝が来るのを待っているようにひっそりとしている。
さて、どっちへ行ったのか
街の中心街へ続く石畳で舗装された道と、反対側には舗装が途中で切れている丘へと続く道。道端の舗装の切れ目の土との境い目には、数輪のピンクや紫の花が、花びらに朝露を蓄えて目覚め始めていた。
おもむろにしゃがみこんだキッド。立ち上がるとその武骨な指には、笑える程に似合わない小さな花がつままれていた。
「はっ……」
ローはコイツ何やってんだとバカにするように笑うが、キッドはバカにし返す。
「女に謝る時は、花だろ。そんなことも知らねェのか」
「…~っ」
お前も行くのかよ
ローは小さくため息をついて、街へと続く道を歩きだした。