第11章 プライド
「?」
ローが悪い顔をして、ちょいちょい、と指を動かしアルコを招き寄せるような仕草をする。
物騒な話か
何か悪いこと思いついたんか
大声で話題にするような場所じゃないもんね
そう思って耳を寄せた瞬間 ───────
ガバッ!!
肘で頭をロックするように捕らえられ、唇を奪われる。
「?!?!!」
頭を離そうとすると、とらえたローの腕に力がこもる。後ろには下がれず、前からは柔らかい唇と舌による甘い刺激。舌がねじ込まれ、体温が交わる。
まぁ今日はこんなサイコーの日だし、なんか気持ちいいし、と一瞬で流されそうになる。
いや、すでに流されているのだろう。胸の苦しさを感じながら鼻で息を吸い、目を閉じた。
ふいに、ローの唇が薄くなり柔らかさがなくなる。
「?」
アルコは目を薄く開け、間近に迫ったローの顔に焦点を合わせると、彼は薄笑いを浮かべ、アルコではなく別の方向を見ていた。
誰かに見せつけるように ─────
(コイツ…………?!!!)
アルコは怒りが込み上げ、ローを突き飛ばし、裏拳で横っ面を殴った。
「ぐっ…………」
ガッッシャン!!!
ローの帽子が吹き飛び、テーブルに手をついた衝突で、ソーサーの上でコーヒーカップが跳ねる。
その音が、周囲からの注目を集めた。
「………………………」
アルコは立ちあがり、静かに竪琴を担いで、ひとりその場を後にした。
グローブの手で唇をぬぐうと、オレンジの香りが鼻についた。