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ゼルダの伝説 時を超えて

第1章 第一章



「遠方からの旅、疲れたでしょう。よく来てくれましたね」

マーロンの使者になるにあたって、礼儀作法を1ヶ月で叩きつけられたのだが、それが吹っ飛ぶほどにゼルダ姫は美しかった。

「うろこ!!」
「え、あ!」

姐さんに頭を叩かれ、私はやっと頭を下げる。

「まあ、そんなに畏まらなくていいのに…頭をあげて頂戴」
「ゼルダ姫、本日はマーロンでとれる珊瑚から作り出したネックレスとイヤリングをお持ちしました」

姐さんの旦那さんの声が緊張で震えているのを初めて聞いたな、なんて思いながら地面を見つめた。

「まあ、素敵」
「マーロンでは予約が殺到しているほど、有名な職人が手がけたもので、デザインは未だ見たことないアシンメトリーのイヤリングに派手ではないのですが、繊細なデザインを施したネックレスでして」
「見たことがないデザインだわ。今までは大きな宝石で派手派手しく飾り付けることやシンメトリーで対照的なバランスを取るというのが流行りだったけれど、これはこれでとっても素敵だわ。マーロンは海に面しているからハイラルにはない素敵なもので溢れているのね」

震える手で渡した宝飾品は近くにいた人に渡され、そしてゼルダ姫の前に持っていかれる。姫の言葉を聞いて此方を見てきた姐さんに私はにっこりと頷いた。

マーロンとハイラルでは、使われる言葉は違っている。お貴族様方からすれば一般教育として受けるハイラル語も私達みたいな平民が聞くことはほとんどなかった。だけど、私だけは何故か、ハイラル語を完璧に聞き取ることができたのだ。ハイラル語がわからない姐さんは私の表情で大体を察することにしている。
…まあ、それだけでは使者として平民を選ぶ理由にはならないのだけれど、今回、私達…いや、厳密にいうと「私が」使者に選ばれたのには理由があった。

「ところで」

ゼルダ姫は眺めていた宝石を臣下達に渡し、王座から立ち上がった。

「…うろこ様。此処に来てくださったということは私の頼みを聞いてくださる、ということでいいのかしら」

私は彼女を見て大きく頷く。

「…はい。そのつもりで来ました」
「ありがとう。明日の明朝、調査団とともに迷いの森へ行っていただきます。それからカカリコ村へと行き………」

長々と説明するゼルダ姫の話を聞きながら未知なる世界への好奇心と不安が現実味を帯びていくのを私は感じていた。
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