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ゼルダの伝説 時を超えて

第1章 第一章



顔の温度が急上昇していくのを感じる。インフルだろうか。今年はみんなが手洗いしてたから鎮静化してるって聞いたけど、ハイラルに来て伝染ったのかも。そう、そうだ。絶対そう。

「照れてるんだ」
「だーー!!!!やめて!もうやめて!!!!」
「何を」

真顔で言うもんだから、こっちが黙ってしまう。
私のHPはもうゼロよ!!これ以上、何を減らせばいいっていうの!?死ねってか!?死ねばいい!?イケメンに褒められていい人生だった!!じゃあな!!!!

「…まあ、女の子にたくさん褒めろって言われたから言うんだけどさ」
「…え…?」
「ロンロン牧場で時々エポナの様子を見てもらってる子の話。髪の毛を切ったとか、笑うエクボが可愛いとか、そう言うのをいちいち褒めないとダメだって懲りるほど言われた」
「…なる、ほど」

なるほど。私への言葉は特別な想いがあったわけでも、特別な言葉でもない、ということね。

「…あんまり言いすぎても、ダメな気もします…」
「…マロンは喜ぶって言ってたけどな」

多分それ、マロンちゃん、貴方に気があるんじゃないでしょうか…。と言いたくなる。って言うかマロンって…あのロンロン牧場の看板娘マロンちゃん!?かなりの美女だということはよく知っている。

「…あの美人で可愛くてどんな動物もあっという間に手懐ける牧場の聖女マロンちゃんのことですか…」
「って、最近は言われてるみたいだな」
「なんとも思わないの?」
「アレのどこが聖女なんだ」
「え」
「大人になって随分大人しくなったけど、じゃじゃ馬姫なのは今も昔も変わらない」

ということは、彼とマロンちゃんは子供の頃からの幼馴染…ってこと。そりゃ、長年一緒にいる幼馴染と商売相手である私たちに見せる表情は違って当たり前。それに、貴方にしか見せない顔があるならそれは恋する乙女の証だと言いたいのにズキリと痛む胸が声を発することを拒否した。

「しょっちゅう、会うの?」

何を聞いてるんだろう、私。

「…1週間に一度会うかどうかだな。それこそ乳製品を買うときに牧場に顔を出すから、そのときに顔を合わせるだけ」
「話はしないの?」
「あっちは色々と聞いてくるけど、面倒だから全部、適当に答えてる」
「何を聞かれるの?」
「覚えてない」

彼女の片想いなんだと気づいてほっとしている自分がいることに少し罪悪感を感じた。
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