第6章 七海の覇王
その日の夜。
シンドリアでの1日を終え、1人カナは部屋で髪をとかしていた。
今日はすごく疲れた。
あんなに人が密集した所初めてだったな…
けれど初めて訪れた国。
知らない文化に興味が無いわけではない。
それに、あそこまで国民に慕われているシンドバッド王や八人将達にのことをもっと知りたいとも思った。
大切なお役目もあるけれど、今は少しだけ…少しだけこの好奇心に従ってもいいかな……。
思い出すのは最後に見た紅炎の後ろ姿。
居場所が欲しいなんて贅沢かな。
そっと布団を深く被った。
…明日が待ち遠しいのは初めてだだ。
…………。
カナが眠るその部屋の前。
扉の向こうで動く影が1つあった。
物音がしなくなり眠ったことを確認すると、ゆっくりと扉から離れて歩き出す。
迷わず押し開けた大きな扉。
「眠ったようですよ、シン。」
緩やかな風になびく薄いカーテンに見え隠れしている月明かりに照らされた大きな窓。その前に立ち、何かを思案するように外の一点を見つめるシンドバッド。
「そうか、すまなかったな。」
ジャーファルの声に振り向くと、微笑んだ。
「いえ…。」
ジャーファルは暗い面持ちのまま言葉を続ける。