第4章 光さす
「失礼します」
聞こえてきた声に、2人は会話を止めて、目を合わせる。
「はい、どうぞ。」
紅明が声を掛けると、控えめにドアが開けられた。
その人が部屋へと入ると、2人は揃ってほぉと息を漏らす。
「見違えましたね」
長いブロンドの髪は緩やかに纏められ、煌帝国独特の華やかな衣服はその白い肌によく映えていた。
「……浴室をお貸しいただくだけでなく、衣服まで整えていただきありがとうございます。」
拳を片方の手で包みこみ、お辞儀をする。昔は何気なく行っていた煌帝国独特の挨拶でさえ、動作の一つ一つが懐かしく感じてしまう。
すると、紅炎は物色するように上から下までカナを見ると、また小さく笑った。
「いや、皇女として身なりは整えておくべきだ。それとこれからは煌帝国第六皇女 練紅奏と名乗れ。いいな?」
「そんな、お待ちください紅炎様。カナという名は唯一の母との繋がりなのです。それに、私は父上様に牢へと入れられた身。とうの昔に皇女だったカナは死んだと思い生きてきました。」
すると、紅明が頭をかきながら話しだす。
「…前にも言いましたが、あなたに選択肢はありません。あなたは本来あの牢の中で一生を終えるはずでした。あなたは救ったのはあなたの母君ではなくここにいる練紅炎です。兄王様に仕えるというのは当然のこと。あなたには意見する権限は最初から無いんですよ。黙って頷けばいいのです。」
頭の中が真っ白になった。
「あなたの言う通り、皇女だったカナ姫は死にました。
あなたは今後練紅奏姫です。」
鋭い視線と有無を言わせない強い口調に何も言えなかった。
「早速ですが紅奏。あなたはこれから牢にいた期間に起きた世界の情勢や我が国の政治、経済、歴史を全て頭に叩き込んでもらいます。あとはそうですね、その貧相な体を丸い女性らしい体にして、多少の筋肉をつけていただいて、男のひとりやふたり堕とせるように色気がほしいところです。」
女性らしい体……。色気……。
数時間前まで何年も閉じ込められていたというのに、この人たちは無茶苦茶だ。