第4章 光さす
「も、申し訳…ございません。」
額を冷たいコンクリートの床に押し付ける。
ガタガタと体の震えが止まらない。
一国の皇子を押しのけてしまった…。
それは下手をすれば追放どころか殺されてもおかしくはないことで、横で唖然とする紅明の様子からも事の重大さがヒシヒシと伝わってくる。
触れられたらまた人を傷つけてしまうと思い、咄嗟に手が出てしまった。
「ご、ごめんな…さ「なんだ今のは!」」
ものすごい形相で迫る紅炎に再び涙が滲んだ。
「殺されるッ」
ぎゅっと強く目を閉じた。
しかし、恐れていた痛みはなにもない。
恐る恐る目を開けると、紅炎は自らの手のひらを見つめていた。
「兄王様、大丈夫ですか?」
紅明が側に駆け寄るが、紅炎はその言葉を聞かずに、何か面白いものを見つけたように笑っていた。
「ハァ……今のことは内密にしておきましょう。それより、この方でいいんですね?」
「あぁ、只のネズミにしては牙があったらしい。」
相変わらず企むように笑っている紅炎。
「ネ、ネズミ……。」
「おい女、話しの続きだ。お前を外に出してやる。」
「外に…ですか?」
この扉を越えて外に。
「私は…。」
「勘違いするな。お前に選択肢など無い。」
唇を噛み締め俯くカナに、紅明が近く。
「あなたはここで誰にも気付かれずに死ぬ筈でした。あなたを助けたのは誰か、よく頭に入れておきなさい。」