第1章 兄妹の絆
それから毎日ルーミーは山へ行くようになった。
しかしエースに会うことはなかった。
そんなある日の朝、いつものように山に行こうとするとルフィが声をかけてきた。
「なあ、おまえ最近泣かなくなったな」
「だってルフィより素敵なお兄ちゃんに出会ったの!そのお兄ちゃんが泣き虫は嫌いだって言うから」
「なんだと!おまえのお兄ちゃんはおれだ!ちょっと来い!!」
「いやー!今日もお兄ちゃんに会いにいくのー!」
ルーミーはルフィに腕を捕まれ海の方へと向かった。
すると赤髪のシャンクスを中心に男達がルフィを大歓声で迎えた。
「ルフィ、今日も来たか」
「お!隣にいるお人形みたいな子は彼女か?」
「こいつはおれの双子の妹だー!ルーミーーこいつがシャンクスだ」
ルーミーは頬を膨らませてルフィを睨んだ。
なんでエースとの時間を邪魔されてまでシャンクスに会わなきゃならないのかと。
しかしルフィはお構いなしにシャンクスを褒めている。
思わずルーミーはルフィを張り倒してしまった。
「ルフィのバカ!!」
そしてマキノのいる酒場へと駆け込んだ。
「ルーミー…珍しいじゃない。貴方がここに来るなんて」
「ルフィに連れてこられたの!私は山に行きたいのに」
「山?貴方山に行ったの?」
「うん…山にお兄ちゃんがいるから会いにいきたくて…」
ルーミーはエースのことを想いテーブルに頬をつけた。
「ハハッ、まるで恋する乙女だな」
ルーミーの隣に当然のように座るシャンクスにルーミーは警戒する。
「そう、警戒をするな。俺はルーミーと仲良くしたい」
「海賊なんて信用できない!だって…悪い奴らなんでしょう?村長が言ってた」
「ルーミー…海賊と直接会ったことはあるか?」
「ない」
「だったら直接見て判断したほうがいい。見てもないのに判断するのはおれは間違ってると思うけどな」
「…うん、ごめんなさい。ルフィにも謝ってくる」
ルーミーは酒場の外にいるルフィの元へ向かった。
「素直でいい子だな」
「ええ。すごくいい子なんです。だから悪い人に連れていかれないか心配だわ」
「確かにあの可愛さ、いろいろしてあげたくなるなぁ」
「お頭、それはいろんな意味でやばいからやめとけ」
「…」