第1章 兄妹の絆
山は幼いルーミーにとっては厳しかった。
でも今は海の声も聞きたくない。
その一心で山を登ると道が開けてきた。
ルーミーはさらに進もうとしたが上から声が聞こえた。
「おい!ここは山賊の家だと分かっててきたんだろうな?」
ルーミーが上を見上げるとルーミー達より少し年上の少年が木の上に座っていた。
初めて見るほぼ同世代の少年にルーミーはキョトンとしてしまう。
また少年もパッチリとした黒目、長く艶々とした髪は綺麗に編み込んでいるまるで人形のようなルーミーにドキッとしてしまった。
そしてしばらく2人は見つめあったがルーミーが急に目を潤ませたので少年はギョッとした。
「泣くなよ!おれは泣き虫は嫌いだ!!」
少年の言葉にルーミーは一旦息を吸って泣くのをやめると少年にニコッと笑いかけた。
「うん!泣くのやめる!!もう置いてかれたくないし」
そして突然ルーミーは少年のいる木に登ろうとした。
「おいっ!」
少年は何故か綺麗なルーミーが汚くなるのが嫌だったので自分から木からルーミーの元へと飛び降りた。
「ありがとう。お兄ちゃん」
ルーミーは降りてきてくれたことが嬉しくて笑顔で少年に抱き着いた。
「おいっ!離れろよ」
「お兄ちゃんは優しいね。ルフィとは大違いだ」
「ルフィ?」
「私の双子のお兄ちゃん。いつも意地悪ばかりするの!」
頬を膨らませて怒るルーミーに少年は何故か癒されていたが急にハッとして距離を離れた。
「ここは危険だ!日が暮れる前に早く帰れ!」
「わかった!ねぇ私ルーミー!お兄ちゃんの名前は?」
少年は自分の名前を言ってルーミーが離れるのが何故か嫌だった。
だから何も言わずその場を立ち去った。
もう2度と会わないと思いながら。
これが少年…エースとの出会いだった。